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第10部 こよみ / 10-3

二十四節気と雑節

立春、夏至、大寒。一年を太陽の位置で二十四に区切り、季節の目印にしたものが二十四節気(にじゅうしせっき)です。そこに日本の農業や暮らしに合わせて、雑節(ざっせつ)という目印が足されました。土用の丑も八十八夜も、こちらです。

この記事で分かること
  • 立春・夏至などの二十四節気が何で決まり、なぜ毎年ほぼ同じ日付になるのか
  • 節分・彼岸・土用・八十八夜など、雑節の意味と時期
  • 「土用の丑の日」「節分」「彼岸」が、今の形になったいきさつ

暦の神が案内します。ここでは、立春や土用のような季節の目印が、何で決まり、いつ来るのかを見ます。今年のカレンダーと自分の誕生日を思い浮かべながら読んでください。

二十四節気は、太陽の位置で決まります

太陽が空を一周する道(黄道)を、十五度ずつ二十四に割ります。 だから毎年ほぼ同じ日付になり、しかも時刻まで決まっています。

くわしくは1-6 暦と節入りで扱いました。 四柱推命の月の境目も、九星気学の年の境目も、すべてここから決まります。

二十四節気そのものは、吉凶ではなく季節と太陽の位置を示す目印です。 六曜のような日の吉凶とは性質が違い、占いでは「年や月がどこで切り替わるか」を決める境目として使われます。

たとえば1984年5月20日生まれの人は、立夏(この年は5月5日)の後、芒種(6月5日)の前に生まれています。 そのため四柱推命では、立夏から芒種の前日までにあたる巳の月の生まれとして命式を立てます(2-2)。自分の誕生日が、どの二つの節気の間にあるかを見てみてください。

中国で作られたので、日本の気候とは少しずれます
二十四節気は黄河流域の気候をもとに名づけられたとされます。 「立秋」が八月上旬なのは、日本ではまだ真夏です。
日本の暦には、季節の移り変わりや農作業の目安として、雑節と呼ばれる日も記されるようになりました。 社日や土用のように中国の考え方から来たものも、八十八夜や二百十日のように日本の暦で加わったものもあります。

雑節

表の読み方:「時期」の列は、毎年のおおよその日付です(2026年なら、八十八夜は5月2日、半夏生は7月2日、二百十日は9月1日)。「太陽黄経」は、太陽が一年かけて空を一周する道のりを360度として、いまどこまで進んだかを表す数字です(1-6)。

雑節読み時期意味
節分せつぶん立春の前日(2月3日ごろ)もとは四季それぞれの分かれ目にあった。立春の前日だけが残ったのは、そこが一年の境目だったから
彼岸ひがん春分・秋分をはさむ七日間昼夜の長さがほぼ等しくなるころ。太陽が真西に沈むため、西方浄土への信仰と結びついた。日本独自の風習とされる
社日しゃにち春分・秋分に最も近い戊の日土地の神を祀る日。春は豊作を祈り、秋は収穫を感謝する
八十八夜はちじゅうはちや立春から数えて88日目(5月2日ごろ)茶摘みの時期として知られ、遅い霜への注意も必要なころ。「八十八」が米の字に通じるとして縁起がよいとされた
入梅にゅうばい6月11日ごろ梅雨に入る目安。実際の梅雨入りとは別で、暦の上の日付
半夏生はんげしょう太陽黄経100度の日(夏至の約10日後、7月2日ごろ)田植えを終える目安。この日までに植えないと収穫が減るとされた
土用どよう各季節の変わり目の約18日間立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間。太陽黄経がそれぞれ297・27・117・207度になる土用入りから、次の立春などの前日まで。年に四回ある。「土用の丑の日」といえば、ふつうは夏の土用の丑の日を指す
二百十日にひゃくとおか立春から210日目(9月1日ごろ)台風が来やすい時期の目安。農家にとっての厄日とされた

土用は、年に四回あります

「土用」というと夏の鰻を思い浮かべますが、 土用は四季それぞれの変わり目にあり、年に四回です。

立春・立夏・立秋・立冬の前十八日間が、それぞれ土用です。 五行で土が季節の受け渡し役を担うという考え方(1-2)が、 そのまま暦に組み込まれています。

たとえば夏の土用は、立秋(8月7日ごろ)の前の約18日間なので、7月20日ごろから8月6日ごろまでです。 「土用の丑の日」は、この期間の中で、日の十二支が丑にあたる日のことです(日にも十二支が順に割り振られています。1-5 六十干支)。 十二支は十二日で一巡するので、丑の日が期間中に一回の年と二回の年があります。2026年の夏の土用は7月20日から8月6日で、丑の日は7月26日の一回だけです。

「土用の丑の日に鰻」は、平賀源内の宣伝という説があります
夏に売れない鰻屋に相談され、「本日丑の日」と書いて貼れと助言した ── という話です。
よく知られた話ですが、源内が言い出したことを示す確かな記録は見つかっておらず、言い伝えの一つです。 「丑の日に『う』のつくものを食べると夏負けしない」という言い伝えもあります。

節分が二月だけになった理由

節分は「季節を分ける」という意味で、 もとは立春・立夏・立秋・立冬の前日、年に四回ありました。

現在、節分といえば主に立春の前日を指します。立春は春の始まり、つまり一年の始まりとも考えられたので、その前日の節分が特に重んじられました(旧暦の元日とは近い時期ですが、同じ日になるとは限りません)。

豆まきには、季節の変わり目に厄を払う意味があります。 そして四柱推命や九星気学でも、年は元日ではなく立春で切り替わります。 たとえば2026年は立春が2月4日なので、節分の2月3日までに生まれた人は、占いの上では前の年(2025年)の生まれとして星や命式を出します(4-3)。

彼岸の墓参りは、日本で育った行事です

春分・秋分をはさむ七日間を彼岸としてお墓参りをするのは、 日本独自の風習とされます。仏教が生まれたインドや、日本に仏教を伝えた中国には、同じ形の行事は見られないといわれます。

春分と秋分は、太陽が真東から昇り、真西に沈む日です。 西方浄土(阿弥陀仏の世界は西にある)への信仰と、 太陽が真西へ沈むことが結びついて生まれた、と考えられています。

天文と信仰が組み合わさってできた行事で、 暦がどう文化を作るかがよく分かる例です。

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