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第10部 こよみ / 10-2

十二直と二十八宿

昔の暦には、日付ごとに「建(たつ)」「破(やぶる)」といった一文字が刷られていました。これが十二直(じゅうにちょく)です。江戸時代の暦では日付の下の段に刷られ、日の吉凶を見るときにいちばん重んじられた書き込みでした。引っ越しや開店の日取りを、人々はこれを見て決めていたのです。

この記事で分かること
  • 十二直の十二の日が、それぞれどんな用事に良い・悪いとされたか
  • 自分の予定日が十二直のどの日にあたるかを、手で出す方法
  • 暦に出てくる「二十八宿」と、第5部の宿曜の「二十七宿」のちがい
  • 暦の主役が、十二直から六曜へ移ったいきさつ

暦の神が案内します。ここでは、六曜より古い暦のしるし「十二直」を、2026年10月の暦で引きながら見ていきます。決めたい予定日があれば、その日で一緒に数えてみてください。

十二直

暦の中段に刷られたので、中段(ちゅうだん)とも呼ばれます。 もとは中国で、北斗七星のひしゃくの柄が夕方どの方角を指すかで、月ごとの十二支を決めた考え方から来ています。

日の十二支と、その月の節気(季節の区切り。1-6)から決まります。 六曜よりずっと古く、日本でも具注暦(ぐちゅうれき。日ごとの吉凶などの書き込みを細かく記した、奈良時代から使われた暦)の時代から記されてきたとされます。

十二直は、六曜と同じく日付で決まる暦の書き込み(暦注・れきちゅう)です。同じ日なら誰にとっても同じで、生年月日から出す個人の運勢とは性質が違います。

表の読み方:「意味と吉凶」は、その日に向く用事と向かない用事です。同じ日でも、用事によって吉にも凶にもなります。 たとえば「成」の日は開店や種まきには吉ですが、訴訟(裁判での争いごと)には凶とされます。

直読み意味と吉凶
建たつ万物を建て生じる大吉日。ただし動土・蔵開きは凶
除のぞく障害を取り除く日。井戸掘り・種まきに吉、婚礼は凶
満みつ万物が満ち足りる日。祝いごと・移転に吉
平たいら物事が平らかになる日。旅行・道路修理に吉、穴掘りは凶
定さだん善悪が定まる日。開店・移転・種まきに吉、訴訟は凶
執とる執り行う日。祭祀・造作・種まきに吉、財産の出入りは凶
破やぶる物事を突破する日。訴訟・出陣に吉、祝いごとは凶
危あやぶ危険な日。何ごとも控えめに。ただし酒造りは吉
成なる物事が成就する日。開店・種まき・建築に吉、訴訟は凶
納おさん物を納める日。収穫・買い物に吉、婚礼は凶
開ひらく開き通じる日。建築・移転・婚礼に吉、葬儀は凶
閉とづ閉じ込める日。金銭出納・墓を建てるに吉、開店は凶
吉凶が細かく分かれているのが特徴です
六曜が「大安は全部よい」と大雑把なのに対し、十二直は 「この日は建築に吉だが訴訟には凶」と用途別に決まっています。
農作業や普請の日取りを決めるための、実用の暦注だったからです。

予定日の十二直を出してみる

十二直は、次の二つが分かれば手で出せます。

  1. その日が何の月かを見るここでいう月は、毎月1日ではなく節入りで切り替わります(1-6)。立春から寅の月、啓蟄から卯、清明から辰、立夏から巳、芒種から午、小暑から未、立秋から申、白露から酉、寒露から戌、立冬から亥、大雪から子、小寒から丑の月です。
  2. 月と同じ十二支の日を「建」にして、順に数えるその日の十二支(暦の一覧で見られます)まで、建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉と数えます。

たとえば2026年10月9日(金)。寒露(この年は10月8日)を過ぎているので戌の月で、この日の干支は丙辰です。 戌の日を建として、戌(建)・亥(除)・子(満)・丑(平)・寅(定)・卯(執)・辰(破)と数えると、「破」の日。訴訟には吉でも、祝いごとには向かない日とされます。 二日後の10月11日(日)は戊午で、同じように数えると「成」。開店や種まきに吉の日です。

節入りの日は、前の日と同じ直が二日続きます(2026年なら、10月7日と8日がどちらも「執」)。暦の十二直の並びが、ときどき一日ずれて見えるのはこのためです。

二十八宿(暦注のほう)

第5部で扱った宿曜の二十七宿(5-1 宿曜とは)とは別のものです。 こちらは牛宿を含む二十八で、並びの起点も角宿から始まります。

宿曜の二十七宿昴から始まる。牛宿を除く。旧暦から求める。人の性質と相性、日々の宿と自分の宿の関係を読む
暦注の二十八宿角から始まる。牛宿を含む。日を順に送るだけ。その日の吉凶を見る

名前は似ていても、使い方が違う別の仕組みです。

暦注の二十八宿は、日ごとに一つずつ送るだけの単純な仕組みです。 「婁宿は婚礼や造作に吉」「鬼宿は婚礼以外の万事に大吉」といった対応が決まっています。

鬼宿日という言葉
二十八宿のうち鬼宿は「婚礼以外の万事に大吉」とされ、 暦のなかでもっとも良い日の一つとされます。
釈迦が生まれた日とも伝えられ、その縁で吉日として特別扱いされてきたといわれます。 なぜ婚礼だけ除かれるのかは、はっきりしません。
上の2026年10月9日は、じつはこの鬼宿日です。十二直では祝いごとに向かない「破」、二十八宿では「婚礼以外は大吉」。同じ日でも、暦注ごとに言うことが違うのです。昔の人は、用事に合う暦注を選んで見ていました。

暦の主役が六曜へ移ったいきさつ

明治六年(1873年)の改暦で、政府が出す暦からは、十二直などの吉凶の書き込み(暦注)が外されました(10-1)。 それでも、吉凶を知りたい人向けの民間の暦には、暦注が載り続けます。

その中で、幕末ごろから広まりはじめ、いちばん広く使われるようになったのが六曜でした。 十二直は「建築に吉、訴訟に凶」と用事ごとに分かれるのに対し、六曜は六種類しかなく、一日の吉凶をまとめて言う。 この覚えやすさが、広まった理由の一つとよくいわれます。

覚えやすいものが広まる流れは、血液型占い(10-5)や動物占い(12-8)のような、現代の占いにも見られます。

今日の暦を見る

萬象暦占いは、六曜・二十四節気・干支を毎日計算して表示します。今日がどんな日かを、暦の側から見られます。暦の一覧に出る「宿」は宿曜の二十七宿(旧暦から求めるもの)で、このページの十二直と暦注の二十八宿は載せていません。暦の一覧で予定日の干支を見れば、上の手順で十二直を出せます。無料で、登録は要りません。

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