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第5部 宿曜占星術 / 5-1
月は27日あまりで星空をひと回りします。その通り道を二十七に区切り、「昴」「鬼」などの名前を付けたものが二十七宿(にじゅうななしゅく)。宿曜(すくよう)は、この宿を使って日取りや人の関係を読む占いです。日本で使われる生まれの宿は、旧暦の月日から求めます(旧暦は、月の満ち欠けで日付を数えた昔の暦です)。

月の神が案内します。宿曜は、二人の関係を「こちらから見た名前」と「相手から見た名前」の二つで読む占いです。まず、どんな占いで、何が得意なのかを見ていきましょう。
宿曜は、陰陽や五行とは別の、インドで生まれた「月の通り道を二十七に分ける」考え方から来た体系です。第1部(陰陽・五行)を読まなくても、ここから学べます。
宿曜は日取りや人の関係などを読む体系です。生まれの宿を使った相性の見方は、その中でもいちばん親しみやすい入口です。
関係が片思いになるということです。 ここでの「片思い」は恋愛感情のことではありません。 二人の関係に、こちらから見た名前と、相手から見た名前が別々にある、というたとえです。
あなたから見て相手が「栄」(あなたを引き立て、益をもたらしてくれる相手)なら、 相手から見てあなたは「親」(親しみと信頼で結ばれる相手)。 同じ関係を、二人が別の名前で経験しています。
宿の名前で言うと、たとえば1984年5月20日生まれの人の宿は虚宿(きょしゅく)です(出し方は5-3)。 虚宿の人から見て危宿(きしゅく)の人は「栄」、危宿の人から見て虚宿の人は「親」。 虚宿の人から見て壁宿(へきしゅく)の人は「安」(こちらが主導しやすく、安心して付き合える相手)ですが、壁宿の人から見ると虚宿の人は「壊」(ペースを崩されやすい相手)になります。 「こちらは安心しているのに、相手はペースを乱されていると感じている」ということが起こりうる、というのが宿曜の見立てです。 この非対称性は、他の相性占いにはあまりない考え方です。 くわしくは5-5 関係は片思いになるで扱います。
源流はインドのナクシャトラです。 月の通り道を二十七(または二十八)に分ける考え方で、 ヴェーダ(インドの古い聖典)の時代から使われていました。
インドの占星術は中国で翻訳され、平安時代に空海が持ち帰ったとされる『宿曜経』(すくようきょう)を通じて日本にも伝わりました。 日本で受け継がれてきた宿曜のやり方を、宿曜道(すくようどう)と呼びます。
中国には、天体の位置を示す二十八宿という別の体系がもともとありました。宿曜道の二十七宿は、これとは数え方が違い、牛宿を含めません。名前の似た宿が並んでいても、使い道や求め方は別のものです。
宿曜は平安時代の貴族社会で広く使われました。 人の相性、行動の吉日、政の判断。
南北朝時代(十四世紀)以後、支えていた貴族社会が衰えるとともに宿曜道も衰え、十五世紀の初めには記録から姿を消します。
面白いのは、そのずっと後、江戸時代に徳川家康が使用を禁じたという話が語られていることです。あまりによく当たり、人の相性が読めてしまうと政治の駆け引きに使われるから、というのがその理由です。 ただしこれは史料で確かめられた話ではなく、伝説の域を出ません。
昭和になって、生まれの宿で相性を見る占いとして再び紹介され、現在は相性占いとして広く知られています。
宿曜経には、宿とは別に七曜(日・月・火・水・木・金・土)が出てきます。 いまの曜日と同じ並びです。
この並びはインドから中国へ、そして日本へ渡りました。 平安時代の日記には、すでに「今日は火曜」といった書き方が見られます。 私たちが使っている曜日は、宿曜と同じ道を通ってきたわけです。
さらに七曜に羅睺(らごう)と計都(けいと)という 二つを足したものを九曜といいます。この二つは実在の天体ではなく、 月の軌道と太陽の軌道が交わる点のこと。 西洋占星術でいうドラゴンヘッド・テイルと同じものです。
「占術ごとに占う」の宿曜では、生年月日を入れると、あなたの宿とその説明、今日の宿との関係、あなたの宿から見てほかの宿がどの関係にあたるかの一覧が出ます。旧暦への変換も新月の計算もこちらで行います。無料で、登録は要りません。
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