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萬象暦 占いシリーズ > 占い入門 > 通変星(二)

第2部 四柱推命 / 2-7

通変星(二)
読み方

「食神」「正財」など十種類の通変星(あなた自身から見た、命式のほかの文字との関係のラベル)が、一つずつ何を表すかを見ていきます。命式にたくさんあるとき・一つも無いときの読み方と、同じ星でも命式のどこにあるかで、出てくる場面が変わることも説明します。

この記事で分かること
  • 比肩から印綬まで十種類の星が、それぞれどんな性質・場面を表すか
  • 自分の命式に同じ星が多いとき、一つも無いときの読み方
  • 同じ星でも、生まれた年・月・日・時刻のどこにあるかで、家族・仕事・身近な人・晩年など、出てくる場面が変わること

暦の神が案内します。星の名前は漢字が硬くても、中身は「仲間・表現・お金・責任・学び」のどれかです。自分の命式にいちばん多い星の項から読み、「多いとき」の枠が思い当たるか確かめてみてください。

この章は2-6 通変星(一)の続きです。十種の名前が「あなた自身を表す文字(日干)から見た、ほかの文字との関係」を示すラベルだと分かっていれば読めます。

星には、使いこなし方があるだけです
日本の入門書では、劫財・傷官・偏官・偏印を「四凶神」と呼ぶことがあります(古典での分け方との違いは2-6)。 これは力が強く出るので、向ける先に工夫が要る星という意味です。 傷官があるから突出した技術が生まれ、偏官があるから修羅場を越える力が出ます。

ここから十種を一つずつ見ます。どの星も、最初の段落が「何を表すか」、その下の二つの枠が「命式にその星が多いとき」「一つも無いとき」の読みです。 十種を全部覚える必要はありません。命式に出てこない星は、あとで「無いとき」の枠だけ読めば足ります。

比肩(ひけん)

自分と同じ五行・同じ陰陽。対等な存在を表します。仲間、同僚、兄弟、そして自分自身の芯。人に頼らず自分で決めたい気持ちや、独立してやっていく力がここに出ます。

多いとき自我が強くなり、人の指図を受けにくくなります。独立や自営に向く一方、協調が必要な場では衝突しやすい
まったく無いとき自分がなく、周りに合わせすぎることがあります。ただし人と組む力は強くなります

劫財(ごうざい)

同じ五行で陰陽が違う。自分と競い合う存在です。比肩より押しが強く、勝負ごとや交渉の場で力を出します。「劫(おびやか)す財」という字のとおり、財を奪い合う関係でもあります。

多いとき押しが強く、勝ちにこだわります。人を巻き込む力がある反面、金銭の貸し借りや共同事業でもめやすい
まったく無いとき争いを好まず、穏やかに進めます。勝負どころで一歩引いてしまうこともある

食神(しょくじん)

自分が生むもので、陰陽が同じ。自然にあふれ出る表現です。衣食住の満ち足り、楽しむ力、のびのびとした才能。古典では「衣食の神」とされ、命式にあると生活に困りにくいと読まれます。

多いときおおらかで、人生を楽しむ力があります。ただし度が過ぎると怠けやすく、締め切りに弱くなる
まったく無いとき楽しむことに罪悪感を持ちやすい。真面目ですが、息の抜き方が分からなくなることがある

傷官(しょうかん)

自分が生むもので、陰陽が違う。鋭く出てくる表現です。技術、批評眼、既存の枠を壊す力。食神が「にじみ出る」なら、傷官は「切っ先が出る」。芸術や技術の場で持ち味が出やすい星と読み、こだわりの強さが人を動かします。

多いとき感受性と技術が突出します。妥協できず、目上や規則とぶつかりやすい(傷官は正官を剋します)
まったく無いとき角が立ちませんが、突き抜けた表現は出にくくなります

偏財(へんざい)

自分が剋すもので、陰陽が同じ。流れる財です。固定した蓄えではなく、人脈・情報・商機といった動くもの。気前がよく、人にお金を使うことを惜しみません。

多いとき商才があり、人と金がよく回ります。ただし出入りが激しく、手元に残りにくいことがある
まったく無いときお金を扱うことに苦手意識が出やすい。堅実ですが、広げるのが不得手

正財(せいざい)

自分が剋すもので、陰陽が違う。手堅い財です。給与、貯蓄、こつこつ積み上げるもの。約束を守り、数字に正確で、任された仕事をきちんと収めます。

多いとき堅実で信用されます。ただし守りに入りすぎて、機会を逃したり、細かすぎると言われたりする
まったく無いとき金銭感覚が大づかみになりやすい。かわりに損得抜きで動ける

偏官(へんかん)(七殺・しちさつ)

自分を剋すもので、陰陽が同じ。厳しい制約です。突発的な圧力、重い責任、危機。しかしそれに耐えるところから行動力が生まれます。古典では凶星とされますが、この教科書では物事を成す力として読みます。

多いとき行動力と胆力が出ます。修羅場に強い。ただし身弱(命式の中で、自分を支える要素が少ない形。2-10)だと圧に潰されやすく、無理を重ねて体を壊すことがある
まったく無いとき穏やかですが、締め切りや圧がないと動き出しにくい

正官(せいかん)

自分を剋すもので、陰陽が違う。穏やかな制約です。規律、立場、まっとうな責任。組織のなかで信用を積み、筋を通して評価される形です。女性の命式では夫を表すとされてきました。

多いとき品行方正で信用されます。ただし枠から出られず、型どおりのことしかできなくなることがある
まったく無いとき規則に縛られず自由に動けます。反面、立場や肩書に恵まれにくい

偏印(へんいん)(梟神・きょうじん)

自分を生むもので、陰陽が同じ。偏った学びです。独自の発想、専門性、直感、変わった知識。人と違う角度からものを見る力で、研究や専門の仕事で生きやすい星と読みます。

多いとき独創的ですが、飽きやすく、興味の対象が転々とします。食神を剋すため「倒食」とも呼ばれ、生活の安定を崩すことがある
まったく無いとき発想が常識的になります。安定しますが、突飛な着想は出にくい

印綬(いんじゅ)(正印)

自分を生むもので、陰陽が違う。正統な学びです。知識、教養、母親、守られる力。学ぶことが好きで、資格や学問で身を立てる形になりやすい。

多いとき学びに強く、人に守られます。ただし守られすぎて甘えが出たり、動かずに考えてばかりになったりする
まったく無いとき独学と実地で身につけます。頼れる人が少なく、早くから自立しやすい

どの柱にあるかで意味が変わる

同じ通変星でも、置かれている柱によって働く場面が変わります。 柱(生まれた年・月・日・時刻を、それぞれ上下二文字で表したもの。2-1)には、それぞれ受け持つ領域があるからです。

表の読み方:自分の命式で、気になる星がある柱を左の列で探し、真ん中の「受け持つ領域」を読みます。右の「時期」は、その柱が特に表す年代の目安で、区切りの年齢は本によって少しずつ違います。

柱受け持つ領域時期
年柱先祖、家系、生まれ育った環境、社会から見た自分幼少期(0〜20歳ごろ)
月柱両親、仕事、社会での立ち位置。命式でいちばん重い柱青年期(20〜40歳ごろ)
日柱自分自身(干)と、配偶者・最も近い人(支)壮年期(40〜60歳ごろ)
時柱子ども、部下、晩年、隠れた才能晩年(60歳〜)

たとえば正官が月柱にあれば「仕事の場で立場と責任を得る形」、 時柱にあれば「晩年に責任ある立場につく、または子どもが真面目」という読みになります。 同じ星でも、どこにあるかで話が変わります。

月柱がいちばん重い
四柱推命では、月柱を特別に重く見ます。生まれた月は季節そのもので、 日干がどれくらい力を持てるかを決めるからです(これを月令といいます)。 命式を読むときは、日干の次に月柱を見てください。

多い・少ないの読み方

八文字しかないので、十種すべてが揃うことはありません。 偏っているのが普通です。読むべきなのは次の二点です。

  1. どのまとまりが多いか比劫・食傷・財・官殺・印の五つ(仲間・表現・お金・責任・学び。2-6)のうち、どれが厚いか。そこがその人の主戦場です。
  2. 何が無いか無いものは「苦手」ではなく「意識されないもの」です。無いからこそ、そこを補う人や環境に強く惹かれる、という読み方をします。

三つ以上同じ星が並ぶとその性質が突出します。 たとえば傷官が三つあれば、こだわりの強さがその人の看板になるほど目立ちます。

たとえば、財(偏財・正財)が三つあって印が一つも無い人なら、 「お金や現実を扱う場面が主戦場で、学びや支えられることは意識の外にある。だからこそ、先生役や支えてくれる人に強く惹かれやすい」と読むのが入口です。

実際の命式でも数えてみます。2-15の例の1984年5月20日10時30分生まれの人(日干は甲)は、上の段の星が比肩・正財・正財です。下の段は、十二支の中にしまわれた干のうちいちばん強いもの(本気。2-9で扱います)で星を出すと、印綬・食神・比肩・食神です。 比肩・正財・食神が二つずつ、印綬が一つで、偏官・正官は一つもありません。 「自分の芯・手堅いお金・自然な楽しみ」の三本柱で立つ人で、肩書きや上からの圧は意識の外。規則に縛られず自由に動ける一方、締め切りがないと動き出しにくいので、期限や役割を人に決めてもらうと一気に進む、と読むのが入口です。

流派によるちがい 通変星の意味づけは、流派差というより書物ごとの表現差が大きい箇所です。 とくに偏印は、日本では「独創・専門」と前向きに書く本が多いのに対し、 中国の古典では「梟神奪食(きょうじんだっしょく)」として強く警戒されます。 つまり、偏印(梟神)が衣食の神である食神を抑えて、暮らしの安定を奪う、という警戒です。 この教科書は、実際の鑑定で使いやすい前者の立場を取りつつ、 古典の警戒点も併記しています。
自分の命式で確かめる

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