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第12部 世界の占い事典 / 12-5
タロットは、もとはトランプ遊びのカードでした。数秘術がいまの占いの形になったのは、二十世紀初めのアメリカです。一方で、英語の auspicious(幸先のよい)のように、古代ローマの鳥占いが言葉の中に残っている例もあります。「西洋の占い」が、いつ、どこで今の形になったのかを見ていきます。
生まれた瞬間の空を写した図(出生図)を作り、サイン(牡羊座などの十二区分)・ハウス(人生の場面の区分)・アスペクト(天体どうしの角度)を組み合わせて読みます。十二星座はメソポタミアで生まれ(12-4)、読み方の枠組みはギリシャ語圏で整いました。二世紀のプトレマイオス『テトラビブロス』は、その後長く教科書として読まれた古典です。
十七世紀ごろまで、天文学と占星術の距離はとても近いものでした。惑星の運動の法則で知られる天文学者ケプラーも、占星術の予言を載せた暦を書いています(3-1 西洋占星術)。
このシリーズで占えます十五世紀の北イタリアで、ミラノやフェラーラの宮廷の人々が遊んだカードが始まりです。ふつうのトランプに、絵札の「切り札(トリオンフィ)」を加えたもので、十六世紀の初めには「タロッキ」と呼ばれるようになりました。
占いの札になったのは十八世紀末のフランスです。1781年にクール・ド・ジェブランが「タロットは古代エジプトの知恵の書だ」と書き、エッティラが占い用の意味づけを体系化して広めました。エジプト起源の説は、今では歴史の裏づけがないことが分かっています。いまよく使われる絵柄は、1909年にイギリスで出たライダー・ウェイト版がもとになっています(7-1 タロット)。
このシリーズで占えますゲルマン系の人々が使った文字で、古い字母表(フサルク。最初の六文字の音から付いた名前)は二十四字です。一文字ずつに名前があり、たとえば最初の文字は「家畜・富」を表します。
紀元98年ごろ、ローマの歴史家タキトゥスは『ゲルマニア』に、実のなる木の枝を細かく切って印を付け、白い布の上にまき、三本を拾って読む占いを書き残しました。その印がルーン文字だったかどうかは分かっていません。ルーンを刻んだ石を袋から引くいまの占いは、1982年にアメリカで出た本をきっかけに広く知られるようになりました。
現代の占いでも使われる手のひらの線(生命線・頭脳線・感情線など)や、指の付け根の膨らみ(丘)を読みます。インドにもヨーロッパにも、古くから手を読む伝統があります(12-3)。
十九世紀の終わりには、手相家キロ(Cheiro)が有名人の手を読んで評判になり、その本が各国で読まれました。なお、生命線の長さで寿命が分かるという科学的な根拠はありません。
いまも使われている鳥の飛ぶ方向や鳴き声、餌のついばみ方から、神々の考えを読みます。古代ローマでは、戦や選挙など公の決定の前に、占い官(アウグル)が空の決まった区画を見て吉凶を判断しました。
英語の auspicious(幸先のよい)は「鳥を見る人」を意味するラテン語から、就任式を表す inauguration も、鳥占いで吉兆を確かめてから職に就かせたことから来た言葉です。
歴史上のもの捧げた動物の内臓、とくに肝臓の形や色を読んで、神々の考えを知ろうとしました。エトルリア(ローマより前にイタリア中部で栄えた人々)の占い師は、ローマでも重く用いられました。
イタリアで見つかったピアチェンツァの肝臓は、肝臓をかたどった青銅の模型で、表面の区画に神々の名が刻まれています。メソポタミアの粘土の肝臓模型(12-4)とよく似ていて、東から伝わったと考える研究者もいます。
歴史上のもの溶かした蝋や金属を冷たい水に落とし、固まった形や、その影の形から新しい年を占います。ドイツ語圏では大晦日の遊びとして知られ、昔は鉛を使いました(ブライギーセン)。
鉛は体に有害なため、EUでは2018年から鉛を使ったセットが売られなくなり、いまは蝋やスズを使うセットが主流です。たとえば船の形なら旅、星の形なら幸運というように、形を何かに見立てて読みます。
いまも使われている「万物は数である」と説いた古代ギリシャのピュタゴラスの名がよく引かれますが、ピュタゴラス学派が考えたのは数の哲学と数学でした。生年月日や名前から数を出して性格を読むいまの形は、二十世紀初めのアメリカで整い、1908年に本を出したミセス・L・ダウ・バリエットらが広めました(6-1 数秘術)。
たとえば1995年4月12日生まれなら、1+9+9+5+4+1+2=31、3+1=4で、運命数は4(安定の数)です。三十秒で出せるので、占いの最初の一歩にぴったりです(6-2 運命数)。
このシリーズで占えます水晶球や鏡、水面をじっと見つめ、浮かんで見えた像を読みます。
大英博物館には、エリザベス一世に仕えた学者ジョン・ディーが使ったと伝わる黒曜石の鏡が展示されています。近年の分析で、この黒曜石はメキシコ産で、アステカで作られた鏡だと分かりました。アステカでも黒曜石の鏡は、夜と運命の神テスカトリポカ(「煙を吐く鏡」の意)と結びついていました(12-7)。
いまも行う人がいる並べてみると、「西洋の占い」の多くは、よそから来た知識や古い思想を、ヨーロッパで組み直した形だと分かります。
いま日本で「西洋占い」と呼ばれているものの多くは、 十九世紀から二十世紀にかけて整えられた、比較的新しい体系です。 それらが明治以降、少しずつ日本へ入ってきました。
この記事に出てきた西洋占星術・数秘術・タロットは、「占術ごとに占う」で一つずつ試せます。西洋占星術は生まれた瞬間の星の位置から、数秘術は上の例のように生年月日を足した数から、あなたの持ち味を読みます。タロットは、恋愛や仕事の悩みを選んでカードを引くと、その問いへの答えが出ます。無料で、登録は要りません。
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