萬象暦 占いシリーズ > 占い入門 > 中東
第12部 世界の占い事典 / 12-4
羊の肝臓をかたどった粘土の模型、砂に打った点の数、飲み終えたコーヒーカップの底。中東では、身近なものから答えを読む占いが育ってきました。星占いでおなじみの十二星座も、もとをたどると、メソポタミア(いまのイラクのあたりで古代文明が栄えた地域)で粘土板に記録された星の知識に行き着きます。
月食や惑星の動きを「国に起きることの前ぶれ」として読み、その記録を粘土板に楔形文字で残しました。はじめは王や国の行く末を占うものでした。
紀元前五世紀ごろには、太陽の通り道を十二等分した十二星座(サイン)の考え方がここで整います。紀元前410年の日付をもつ、一人の子の誕生の空を記録した粘土板のホロスコープも見つかっています。十二星座の星占い(3-1)の、大事な出発点です。
歴史上のもの神に捧げた羊の肝臓の形や傷、膨らみを調べ、戦や王の決断の吉凶を読みました。どこにどんな印があれば何が起きるかを書いた粘土板や、占い師の学習用とされる粘土の肝臓模型が残っています。
イタリアのエトルリアにも、よく似た青銅の肝臓模型があります(12-5)。
歴史上のもの砂の上に、数を数えずに点の列を四本打ちます。列ごとに、点が奇数なら点一つ、偶数なら点二つに置き換えて上から並べると、四段の小さな図形ができます。組み合わせは2×2×2×2=十六通り。こうして作った図形を組み合わせて読みます。
アラビア語では「砂の学(イルム・アル=ラムル)」と呼ばれ、中世にはヨーロッパにも伝わりました。偶然から「一つか二つか」を決めて記号にするところは、陰か陽かで線を決める易の八卦(三本の線で八通り。8-2)とよく似た発想です。
いまも使われているアラビア文字には、一つずつ数が割り当てられています(アブジャド数価。アリフ=1、バー=2、ジーム=3……)。これを使うと、どんな言葉も数に直せます。ジャフルは、この文字と数の対応を使って語句や文を読み解き、先のことを知ろうとする学問です。
シーア派では、預言者ムハンマドの一族に伝わった秘伝の知識として語られてきました。文字を数に直す発想は、名前から数を出す数秘術(6-1)ともよく似ています。
歴史上の記録があるトルココーヒーを飲み終えたら、願いごとを思い浮かべながらカップに受け皿をかぶせ、そのまま逆さにします。カップが冷めるのを待ってから持ち上げ、内側に残った粉(澱・おり)の模様を「鳥に見える」「道が伸びている」と読んでいきます。
占い師に頼むこともありますが、食後に家族や友人どうしで読み合うおしゃべりの楽しみとして、トルコやギリシャ、バルカン半島、中東の各地でいまも親しまれています。
いまも使われている夢の場面ごとに意味を書き並べた「夢の本」が、粘土板やパピルスで残っています。古代エジプトの夢の本(紀元前十三世紀ごろのパピルス)では、よい夢と悪い夢が分けて並べられ、「悪い」という言葉は、不吉な色とされた赤いインクで書かれています。
三千年あまり前の人が、どんな夢をよい夢と考えたのかが分かる資料です。
古代の記録メソポタミアの星の知識は、大きく三つの方向へ広がりました。
日曜日の「日」、月曜日の「月」。毎日カレンダーで見ている曜日にも、メソポタミアとギリシャで育った星の知識の名残があるわけです。
西へ伝わった十二星座の西洋占星術と、十二宮や七曜とともに東へ伝わった宿曜。「占術ごとに占う」では、この二つを生年月日から一つずつ試せます。西洋占星術は生まれた瞬間の太陽・月・惑星の位置を計算して十二星座で読み、宿曜は生まれた日を旧暦に直して、二十七の宿から自分の宿を出します。無料で、登録は要りません。
占術ごとに占う をひらく