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第10部 こよみ / 10-1

六曜

結婚式は大安、葬式は友引を避ける。日本人がいちばんよく使っている占いです。ただし仏教とは無関係で、しかも江戸時代からの流行にすぎません。

第10部 こよみ

暦の神が案内します。大安も仏滅も、おみくじも、もとをたどれば暦の一部です。毎日目にしているものの由来を見ていきましょう。

六つの日

六曜読み吉凶由来と意味
先勝せんしょう午前が吉、午後が凶「先んずれば勝つ」。急ぐことは午前中に
友引ともびき朝夕が吉、昼が凶もとは「共引」で勝負がつかない日の意味。「友を引く」は当て字で、葬儀を避ける習慣は後からできた
先負せんぷ午前が凶、午後が吉「先んずれば負ける」。急がず、静かに待つ
仏滅ぶつめつ終日が凶もとは「物滅」。仏教とは無関係で、字が当てられただけ
大安たいあん終日が吉「大いに安し」。何をするにもよい日とされる
赤口しゃっこう正午前後だけ吉「赤」から火と刃物を連想し、忌む日とされた

並び方には規則があります

六曜は旧暦の月日から機械的に決まります。 計算式はきわめて単純です。

(旧暦の月 + 旧暦の日)÷ 6 の余り

余り012345
六曜大安赤口先勝友引先負仏滅

旧暦の一月一日は必ず先勝、二月一日は必ず友引……というように、 各月の一日は決まっています。あとは順に送るだけです。

だから六曜は、たまに飛びます
新暦のカレンダーを見ていると、六曜の並びが途中で飛ぶことがあります。 「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」と来て、次がまた「先勝」に戻らず、 いきなり別の六曜になる日です。
これは旧暦の月が変わったからです。 規則が分かっていれば、不思議でも何でもありません。

仏教とは関係ありません

「仏滅」という字を見ると仏教のように思えますが、まったく無関係です。

もとの字は「物滅」で、 「物事が滅する(いったん終わる)」という意味でした。 そこに仏の字が当てられたのは、後の時代です。

実際、仏教の宗派の多くは六曜を否定しています。 浄土真宗は「日の吉凶を選ぶのは迷信である」と明確に述べており、 お寺の暦に六曜を載せないところも多くあります。

「友引」に葬式をしない理由も、後付けです

友引はもともと「共引」で、 「引き分ける」「勝負がつかない」という意味でした。

それが「友を引く」と読まれるようになり、 「故人が友を連れて行く」という連想が生まれました。 語呂合わせから始まった習慣です。

ただし、いまや火葬場が友引に休業するほど定着しています。 由来が後付けでも、社会の仕組みになってしまえば実体を持ちます。 これは六曜を考えるうえで、面白いところです。

明治政府が禁じたのに、広まりました

明治六年(1873年)、政府は太陽暦を採用し、 暦から吉凶の記述を排除しました。六曜も禁じられます。

ところが結果は逆でした。公式の暦に載らなくなったことで、 民間の暦(おばけ暦)が売れるようになったのです。

そして戦後、暦の統制がなくなると一気に普及しました。 いまの六曜の隆盛は、実は昭和以降のものです。

使うなら、こう考えるのが健全です
六曜には根拠がありません。しかし「大安に式を挙げた」という事実は、 参列する親族を安心させます
つまり六曜が効いているのは日そのものではなく、 人の気持ちのほうです。それが分かっていれば、 使っても使わなくても構わない ── というのがこの教科書の立場です。
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