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第8部 易 / 8-5

爻を読む

卦が立ったら、まず卦全体の言葉を読み、次に六本の線(爻・こう)のどれが動いたかを見ます。同じ卦でも、動いた線が下のほうなら「始まりの段階」、いちばん上なら「行き過ぎ」というように、話がまるで変わります。

この記事で分かること
  • 六本の線の位置(下から一本目〜六本目)が、物事のどの段階を表すか
  • 動いた線が0本〜6本のとき、どの言葉を中心に読むか(萬象暦の易占いの読み方も)
  • 動いた線が一本のときの、答えの組み立て方

方位の神が案内します。卦が立ったら、次は「六本のどこが動いたか」です。同じ卦でも、動いた場所で答えの中身が変わります。最後に、一つの問いを答えまで通して読んでみます。

この章で使う言葉を、先にそろえておきます。

六つの位置には意味があります

表の読み方:表は実際の卦と同じく、上の行ほど上の線です。いちばん下の行の「初爻」が、一回目に投げた線にあたります。 自分の結果で動いた線が下から何本目かを数え、その行の「段階」を読んでください。「立場」は、人や組織に当てはめて読むときの目安です。

位置呼び名段階立場
六番目(上)上爻終わり。行き過ぎ引退した人、外にいる人
五番目五爻最盛期。最も良い位置君主、責任者
四番目四爻上に近く、危うい重臣、補佐役
三番目三爻下卦の終わり。無理が出る中間管理職
二番目二爻下卦の中心。安定実務の中心
一番目(下)初爻始まり。まだ力がない新人、下積み

五爻がいちばん良い位置とされます。上卦の真ん中で、 高すぎず、力が満ちているからです。

逆に上爻は行き過ぎ。 「亢龍悔いあり」(昇りつめた龍は後悔する)という有名な言葉は、 乾為天(けんいてん。六本すべてが陽の卦)の上爻に出てきます。つまり、勢いが極まったところでなお押し続けると悔いが残る、ということです。

たとえば、進めるかどうか迷っている件を訊いて、下から三本目が動いたとします(説明用の例。卦全体の言葉は、下の「答えまで通して読む」で合わせて読みます)。 三爻は「下卦の終わり。無理が出る」位置なので、「いまは、背伸びや無理押しをしていないかが分かれ目」と読みます。 萬象暦の易占いでも、この位置が動くと、答えの「変わり目:」の段落に「下から3本目(足場の段階の終わり)の線が動きました」と出て、問いに合わせた一手が続きます。「決めようとしていること」の問いなら、たとえば「背伸びした案は一つ外し、身の丈に合う案で決めて。」です。

正位と中

線の位置には、もう一つ見どころがあります。その線が、陰陽から見て落ち着く場所にいるかどうかです。 少し細かい話なので、読みに慣れてから戻ってきても構いません。

正(せい)奇数の位置(一・三・五)に陽、偶数の位置(二・四・上)に陰があること。落ち着きがある
中(ちゅう)二爻と五爻にあること。正より重い。偏らず、ちょうどよい

五爻が陽で「正」かつ「中」なら、中正といって最も良い形です。 「中」を重んじるのは儒教の中庸の思想と同じで、 易が思想書でもあることがよく分かるところです。 なお、萬象暦の易占いの画面の文は、正・中までは読み分けていません。

動爻の数で読み方が変わる

動爻が何本あるかで、どの言葉を中心に読むかが変わります。 三枚の銭の方法では、一本だけ動くことがいちばん多く、次に二本、何も動かない、の順です。

表の読み方:左の列で、自分の結果で動いた線の本数の行を探し、右の列の言葉を中心に読みます。 右の列は、南宋の学者・朱熹(しゅき)が示した、古くから広く使われる読み方です。 たとえば二本目と五本目が動いたなら「2本」の行を見て、上にある五本目を中心に読みます。

動爻の数中心に読む言葉
0本本卦の卦辞だけを読む。状況が動いていない。いまのまま
1本その爻辞を読む。もっとも読みやすい形
2本二つの爻辞を読み、上の動爻を主にする
3本本卦と之卦の両方の卦辞を読み比べる
4本之卦の、動かなかった二爻を読む。下のほうを主に
5本之卦の、動かなかった一爻を読む
6本之卦の卦辞を読む。乾と坤だけは特別な言葉(用九・用六)を読む

この規則は朱熹が『易学啓蒙』で示したもので、古典の易経そのものには書かれていません。流派によって細部が違うことがあります。萬象暦の易占いも、この規則を土台にしています。

萬象暦の易占いでは、こう並びます(くわしく)

画面の答えは、選んだ問い(決めようとしていること・仕事・恋愛・人間関係・これからの流れ)ごとに本サイトが書いた文で、三百八十四本ある爻辞そのものは出しません。動いた線は、上の「六つの位置」の表の「段階」をもとにした短い言葉で示し、そのあとに問いごとの一手を添えます。五本目は、凶の卦に出ても読めるよう「最盛期」とは書かず、「全体の要」として示します。

いちばん多い「動爻一本」の読み方

実際には、動爻が一本というのがもっとも多く、読みやすい形です。

  1. 本卦の名前と卦辞を読むいまの状況の全体像
  2. 動爻の位置を確認する何番目か。段階と立場が分かる
  3. その爻辞を読むいまいちばん動いているところ(萬象暦の易占いでは、位置を示す短い言葉と、問いごとの一手が出ます)
  4. 之卦を出すその線が変わったあとの形(8-6)

「いまはこういう状況で、そのなかでもここが動いていて、 動いた先はこうなる」── これが易の答えの形です。 萬象暦の易占いの答えも、問いへの答えのあと、この順(今の状況 → 変わり目 → この先)で並びます。

答えまで通して読む

8-1で例にした「この転職の話を進めるか」を、最後まで読んでみます(説明用の例です)。 銭を六回投げて泰(たい。下の三本が陽、上の三本が陰)が出て、下から三本目が動いたとします。

  1. いまの形(本卦)泰は、天と地が通い合い、物事がよく巡る形。いまは追い風です。
  2. 動いた線下から三本目は、下卦の終わりで無理が出やすい位置。勢いに乗って、条件を詰めないまま進めやすいところです。
  3. 変化の先(之卦)三本目をひっくり返すと、下の三本が兌(沢)になり、臨(りん。こちらから近づき、勢いが伸びていく形)に移ります(出し方は8-6)。

三つをつなぐと、答えは「いまは追い風。ただ勢いで無理押ししやすいので、条件を一度確かめてから進めれば、その先はさらに伸びていく」。 萬象暦の易占いで「決めようとしていること」を選んでこの形が出ると、まず【答え】の行に「大吉の形」と★が示され、迷わず進めてよいという答えのあと、今の状況(泰)、変わり目(下から3本目の線)、この先(臨の形へ移っていく流れ)の順に並びます。

卦を立ててみる

萬象暦占いの「易で変化を見る」では、問いを五つ(仕事や恋愛など)から選び、三枚の銭を六回投げる方法で卦を立てます(銭の表裏は乱数で決まります)。動いた線があれば、本文に「変わり目:下から3本目の線」のように位置が示され、「占いの根拠」の折りたたみ欄に易の用語(三爻など)が添えられます。無料で、登録は要りません。

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